第5章 演習問題解答例
(1) 1年の最後の月は2月である.
(2) 給料は月に1回支払われる.
(3) 給料を英語でいうとsalaryである.
(4) 日本では中学校から英語を勉強する.
これらの文には,それぞれ隣り合う文に
(1) の「月」と(2)の「月」
(2) の「給料」と(3)の「給料」
(3) の「英語」と(4)の「英語」
というように,同一の単語が現れているが,ただ同一の単語が現れているというだけで,同一の対象を指示しているというような意味的な関係は存在しない.また,文の間の論理的な関係も存在しないために結束性が認められない.
代名詞の照応関係を解決するために利用可能な言語情報としては,主題,焦点などの他に名詞の意味的な属性が考えられる。名詞の意味的な属性を利用することで,例えば,代名詞が”he”の場合には男性を表す名詞だけを先行詞の候補とすることができる.
代名詞の先行詞を決定するヒューリスティックとしては,次のような優先順位が用いられる.
主題>焦点>その他の名詞
「照応問題の解決」については,「長尾真編:自然言語処理,岩波講座ソフトウェア科学15,岩波書店,1996,pp.273‐284」に解説がある.
図5.2のScene1として次のようなものが考えられる.
最も単純なものとしては,次のようなスクリプトが書ける.
(94) Mary kicked John.
(95) A boy kicked John.
(96) A boy kicked a girl. She cried.